②トピックス 02 トルコ ~ 親日国の意外な素顔
トルコ ~ 親日国の意外な素顔
~ 欧州とアジアが出会う国 ~
トルコというと、ボスポラス海峡を挟んでアジアと欧州が出会う首都イスタンブールのイメージが浮かびます。親日的なお国柄でも有名で、イラン・イラク戦争(1980~1988年)時には、テヘランに取り残されていた在留邦人救出のために特別機を差し向けてくれたのも同国でした。最近では、ボスポラス海峡の下を潜るトンネルの開通式に安倍首相が出席したことが話題になりました。
~ 近所は「火薬庫」 ~
トルコはNATO加盟国ですが、紛争が続く中東諸国と国境を接する国でもあり、安全保障環境は決して穏やかではありません。米英等の有志連合勢力とISILとの戦闘が続くなか、トルコは関係各勢力との複雑な利害関係を有していることから、米英軍等に国内の空軍基地の使用を認めていません。
一方で、同国東部にはイランからの弾道ミサイル飛来を探知するために米軍のXバンド・レーダーが配備されています。このレーダーによってヨーロッパや米国本土に飛来するミサイルを早期に探知することが出来るようになり、THAADミサイル、PAC-3或いはイージス艦による有効な迎撃が可能になります。同レーダーは、日本の航空自衛隊・車力分屯基地(京都府 京丹後市)内に配備されているものと同種のものです。
~ 「傘」選びも容易ではない ~
NATO加盟国は、米国及びNATO加盟国の防衛に貢献しているトルコを域外からの脅威から守るために様々な支援を行っています。その一つが米国とオランダ(ドイツが引継ぎ)による防空ミサイル部隊の派遣で、トルコの空を米軍等のPAC-3が睨んでいます(1月下旬にはスペインの防空部隊も加わっています。)。
トルコ政府も自前の防空ミサイルシステムの導入を進めていますが、これが少々難航しています。同防空システムの入札には米国、欧州、ロシア及び中国の企業が参加し、中国のシステムが1番手に選ばれました。しかし、NATO加盟国から「中国の兵器システムを既存のNATOの防空システムに組み込むことは出来ない」「当該中国企業の関連会社は対北朝鮮・イラン制裁に違反している疑義により、経済制裁の対象になっている」との批判が起こりました。
そこでトルコ政府は、中国企業との交渉と並行して、第2位のASTER(ユーロサム:欧州企業連合体)及び第3位のパトリオット(レイセオン社:米国)との協議も進めることにしました。これによる落札企業の決定は数次にわたって延期されていますが、中国側が技術供与を渋っていることなどもあり、トルコの「傘」選びはまだ暫く時間がかかりそうです。
~ 兵器輸出大国への野望 ~
トルコ政府は国策として、国産兵器の開発とその輸出促進に取り組んでいます。現在は米国、英国、ロシア、中国等に遠く及びませんが、近い将来に兵器輸出実績でベスト10に入ること目標にしています。
トルコ政府は欧米の兵器製造企業との合弁事業を積極的に進めており、次世代型軍用ヘリの開発に目途を付けるなど、着々と成果を出しています。F-35戦闘機の欧州におけるエンジン整備拠点の一つに内定するなど、同国の兵器産業は地力を付けつつあります。
兵器類の開発には莫大な資金が必要になりますが、トルコ政府は国防予算本体とは別建ての基金を創設してこれをバックアップしています。当該基金には酒、タバコ及びギャンブル事業に課せられる課金(約15億ドル:2014年度)とともに、兵役免除納付金(12~16億ドル)が充当されています。同国には、28歳以上の男性は国に7,579ドルを納付することで兵役を免除される制度があって、毎年15~20万人が申請しています。
日本は今日、防衛装備品の輸出政策を大きく転換しつつあります。国際社会においては兵器類の共同開発・生産が主流になりつつありますので、トルコも日本の有力なパートナーになるかもしれません。
※2014年のトルコの兵器輸出実績:16億4,800万ドル( 2013年:約14億ドル、2008年:約6億ドル)